
時代を視る
2025年7月ニュースレター 時代を視る
2025年7月24日
一般財団法人WIN WIN 代表 山口 積惠
最速で梅雨明けとなった地域がある2025年の梅雨です。今年も猛暑かと憂鬱ではありますが、欧州では熱波が各地を襲っていて、スペインでは46℃を超える日もあったなど観測史上もっとも気温が高い6月だったというニュースも届いています。地球規模で気候変動が起きていると思っていいでしょう。
さて、6月22日に投開票があった東京都議選では、都民ファーストの会が第一会派になりました。また、女性候補者が最多の99名であり、候補者全体に占める割合は34%になり(前回28%)、女性当選者の割合も48名と過去最高(前回41名)を更新しました。加えて、参院選の公示が7月3日に行われ(投開票は20日)、都議選はその前哨戦と位置づけられていただけに、参院選で全国の有権者がどのように審判を下すかが注目されます。
ところが気になる点があります。東京都議会における女性議員比率は増加し、全国一となっているものの、道府県議会では「無投票選挙区」が増えていると指摘するのは、クオータ制の実現をめざす会の神永れい子さんです。神永さんの調査によれば、「2023年の統一地方選挙の結果では、47都道府県では37.3%が無投票で、結果2679議席中684議席(25.5%)が立候補届けをしたのみで道府県議員となりました。また、無投票で議員になるのがほぼ男性です」と疑問を投げかけます。
こうした現状を踏まえ、議員をめざす女性の発掘と育成に力を注ぐ政治スクールを立ち上げて活動する団体があることをご存知でしょうか。その数は正確には把握できていませんが、全国に点在していて、地に根を張る活動を展開しています。今回は九州の「福岡・女性議員を増やす会」(富永桂子代表)を紹介します。2018年に発足した同会は福岡市に拠点を置き、賛助会員の会費のみで運営しています。2019年から「女性のための政治スクール」を毎年開催していて、今年度は第8期となるプログラム(6月~10月で全5回)を実施しています。さらに広報紙「パリテウエーブ」の発行を行っており、政治スクールを経て誕生した女性議員の活動報告をはじめ九州各県で女性議員数ゼロワンをめざす活動グループなどの紹介を行い、連携を深めています。「パリテウエーブ」編集長の山川美幸さんに話を聞きました。
「小さな町では女性議員が出にくい状況があります。だからこそ政治スクールが必要だと思っているので個人的にも働きかけていきます」と前向きです。
会員のみなさまの周辺で女性議員を増やす活動を行っている団体がありましたら、WINWIN事務局までご連絡下さい。取材をさせていただきたいと考えています。
赤松政経塾・第8回(5/17,国際文化会館)の講師は①円より子さん(国民民主党衆議院議員)及び②川口由貴さん(婦人公論.jp編集長)でした。円さんは、その頃(第217回)国会で審議を経て実現が期待されていた「選択的夫婦別姓」について解説をしてくれました。「法制審議会が導入すべきであると答申をしたのは、1996年です。つまり今に至る29年間も審議されることなく放置されてきました」と言い、1997年に民法の一部を改正する法案を国会にはじめて提出した発議者(4名。賛成者は超党派議員の15名)の一人として、審議放置されてきた背景と現在の状況を説明しました。円さんは近年盛んに言われている「通称使用」の拡大で夫婦別姓を避けられるという意見に対しては、ずばり「限界があります」と言います。通称使用の都度、身分証や戸籍謄本の提出を言われることの不条理があり、海外では通称使用が認められていないなど、通称使用をもってしてもクリアできることの少なさを洗い出しました。
そもそも自民党は法案提出を見送り、公明党も足並みをそろえています。一方、野党の法案も一本化できず、結局継続審議となっています。今秋の臨時国会ではどうなるか、しっかりと見ていきたいと思います。(理事・甘利てる代)