時代を視る

2023年3月ニュースレター 時代を視る NO347

2023年3月10日

一般財団法人WIN WIN 代表 赤松良子

わが国では1年間に生まれる赤ちゃんの数が80万人を下回ったというので、普段ジェンダー問題などという言葉、全く気にしたこともないオジさん達まで、心配しているらしい。それはごもっともなことで、このままの傾向が続くと日本の人口は減少の一途を歩むことになる。

女性の不満には目をつぶっていても、人口が減少していくのは気になるのが憂国の志の強い日本男子のあり方なのであろう。さあ、どうする。

世界には、日本が人口過剰なのにまだ増えていた頃、出生率が低くなって人口減少を心配する状態になっている国がいくつもあった。例えばフランス。そこでその政府はどうしたか? 女性が子どもを生もうと思えるようにするため、いろいろ頭を絞って考えた。統計を示して、現状が憂うべきであることを具体的に示す方法、子どもを〇人以上生むと得られる特典。(政府が新しく設けて、該当する女性に附与するやり方)地方自治体単位でもいろいろユニークな方法を設けた。とに角、国をあげて、民族の減少をくい止める努力をした。

その甲斐あって、国民の数は増加に転じた様子。何でも若い夫婦に尋ねると、「親は2人なんだから、子どもも2人以上ないとね」と答えると聞こえてきた。まずは目出たし、目出たし!!と、この問題を考えていたら(2023年)3月5日の東京新聞に、ジャスト、「出生率 鍵は男性の家事・育児分担」という大きな記事が出た。筆者はメアリー・ブリントン(ハーバード大学教授、ライシャワー日本研究所所長。ジェンダー不平等問題、現代日本社会学)は、日本、米国、スウェーデンの三カ国の比較研究で、家事・育児の分担率を算出、日本は、男性の分担割合は15%と最も低く、米国は37.9%、スウェーデンは43.7%と算出した。

そして出生率は、これを良く反映して、スウェーデン1.66、米国1.64、日本1.33(2020年)となっている。

ブリントン教授はインタビューで日本男性の長時間労働を当然視する風潮が女性の育児負担の重さに繋がっていると指摘した。つまり、男は仕事、女は家事・育児という役割分担意識が根底にあるのだ。そして、この意識は一朝一夕で変えることはできない。となると、さあ、どうする!

 

政府もある程度、真剣に少子化問題は考えているようである。そうであるなら、議論するだけでなく、フランスや北欧など、成功した事例を具体的に良く学び、とり入れてゆく方針を立てることが重要なのではないかと思われる。

私達のレベルでも、いろいろ考えてみなければと考えている。