時代を視る

2015年1月 ニュースレター 時代を視る Vol.178

2015年1月13日

WIN WIN代表 赤松良子

昨年暮れに総選挙が行われ、予想通り、与党が大勝した。師走の忙しい最中、大した争点があったわけでもないと思われたせいか、投票率は低く、50%を少し上まわった程度。ということは戦後最低となり、半数近くの有権者は意思表示をしなかったということである。結果は自民党は5減で過半数を優に上回り、公明党(微増)を加えれば、3分の2を制して、与党の大勝ということになった。と言っても民主党は20近く増なのだが、それでも前回(2012年暮)の大敗を取り返すことはとてもできなかった。文句なしの勝利は共産党で、8から21へと躍進している。前回浮上して20近く(19)を得た「次世代」は10分の1の2に激減し、絶滅危惧品種入りかと思われる。まことに栄枯盛衰の激しいのはこの世界なのだと感じさせられる。2012年の解散というのは、時の野田総理(民主)が国会で、野党の挑発に乗せられ(貴方に解散なんかできないだろうと言われ)解散してみせたというお粗末なものだった。伝家の宝刀というものは、そんなことで抜いてはいけないというのは、冷静にものを考えれば誰にでも分かる理ではないか。その無茶な解散のせいで、40人だった民主党の女性衆院議員はなんと3人になってしまったのだ。2014年に9人になり、3倍増などと言っても、とうてい旧に復してはいない。総合的に考えてみると、今度の総選挙、政権党の思わく通りの結果になったということになるのであろう。問題の多い外交は争点にせず、アベノミックスの効果もまだはっきりしないうちに経済問題に関心を集めたのが成功で、クオータ制への取り組みは折角議員連盟結成へ動きかけていたのに水をかけられてしまった。各党女性候補者の比率は30%どころか10%を少し超える程度、共産党だけは25%とそれでも4分の1であった。当選者の女性比率は更に下回り、1割を切れている。(475人中45人)2009年の53人から2012年38人に激減し、やっと45人になったが、1割にさえ達しないのが現状である。あらゆる分野でリーダーの30%を女性に、という目標を2020年までにと立てたのは結構だったが、これではかけ声倒れに終わる公算が大きくなってきた。たてた時は、ずっと先のことだと思っていた20年という年が、あと5年と目前にせまってきたからだ。政治の分野だけが遅れているというのなら、救いがあるが、決してそうではないし、国会議員での状況というのが、もっとも可視的で、国際的にも比べ易い数字だから、始末に困る。それに、目標を立てた時と現在で、間に変転はあったが、同じ政権なのである。そんな目標があったか? とは言えない筈である。少なくとも、自党の中にでもクオータ制を取り入れて、女性の割合(現在はたった8.3%)を増やすべきではないのか。「女性が輝く時代」など聞こえのよい言葉だけが躍るのでは、責任政党という名が泣くというものであろう。一方の民主党、党首まで落選して、辞任という事態になり、後任の選出選挙が間近になっているが、相変わらず男性ばかりの顔。いつかこの欄に書いた「自民党はおじさん(おじいさん?)の党、民主党は少し若い男性の党」という表現を思い出している。日本にはサッチャーやメルケルあるいはパク・クネの出る日は遠いのだろうか。