時代を視る

2014年2月 ニュースレター 時代を視る Vol.168

2014年2月10日

WIN WIN代表 赤松良子

大新聞の一面トップに女性の顔が出ることはめったにない。1月末にそれがあり、ホホウと思ったのは私だけではないだろう。おそらく海外の新聞にも報道されたに違いないと思う。それだけの業績をあげたのが若冠30歳のリケジョ(理系女子)だというからすごい。小保方晴子さんという一寸覚えにくい名だが、ぜひ覚えておきたい。

 

この人のおかげで、2月1日に始まった中学入学試験に、理系の女子校にどっと受験者が増えたという。中学受験者総数が少子化の一環で減少している中にあってである。何年か前に、世界の名門ハーバード大学の総長ともあろう人が、女性の頭は理化学に向いていないとか変なことを言って世論の猛反発を受け辞職に追い込まれた事件があったが、世の中には女子は理化学をやるのは無理だという偏見に促われている人はまだ多いかもしれない。そういう人が女の子の理系に進もうとする気持ちにストップをかける。親に「女だから理系はよせ」と言われてあきらめる女子の中に未来の小保方さんが居るかもしれないのに・・・。

STAP細胞とか、万能細胞とかいうものは門外漢でさっぱり分からないが、紅茶程度の弱酸性液(37度C)の中に25分浸しただけでできるのだというのは分かり易く面白い気がする。小保方さん達には是非良い研究を続け、ノーベル賞をとって頂きたいと願う。というのも、日本からノーベル賞受者は少なくないのに、女性は1人もいないことをいつも残念に思っているからである。戦前に「キュリー夫人伝(エーヴ・キュリー著)を読んだ頃、優れた女性の伝記があまりなかったせいもあるが、マリー・キュリーと言う名に、モウ-レツにあこがれたものだ。これは文系も理系もなく、素晴らしい女性と思っていたのだった。戦後間もない頃、映画「キュリー夫人」というアメリカ映画が輸入され、貧乏学生だった私でもがんばって〇〇円払って観に行ったのが記憶に残っている。

 

以後、新しい憲法の下での女性解放の波の中で、社会進出もすすみ「女性初の□□」という冠を頂いた先輩達が現れ、そんな記事を見る度に、胸をときめかしていた。幸い私の勤務はそういう方達に関する報道を集め、パイオニアの女性達を励ますということも内容にしていたのでこちらも大いに励まされることが多かった。また、30代にはNGOでの研究・勉強も頑張ってやり、毎月の研究会での報告をまとめて「近代日本の女性像」という文庫本(田中寿美子編、社会思想社・現代教養文庫)を出したりもしている。この本は、7〜8人の若いキャリア・ウーマンが、分担して明治・大正・昭和に生きた女性達の生き方、考え方をまとめ、良きリーダーだった田中寿美子氏の名で出版されたものである。そこで取り上げられている女性は、与謝野晶子、鳩山春子、平塚らいてう、市川房枝、山川菊栄、羽仁もと子等々と多彩であるが、残念乍ら理系の方の名が無い。津田梅子の伝記によると、彼女はブリンマー・カレッジで蛙の目玉の研究をしていたというから、理系だったのかと思うが、ライフ・ワークは女子の英語教育だったから、リケジョとは言えないだろう。文系、理系を問わず、21世紀には優れた女性が大いに輝いてくれることを期待してやまない。