時代を視る

2018年7月ニュースレター時代を視る NO.221

2018年7月10日

WIN WIN代表 赤松良子

「政治の分野における男女の機会均等を推進する法律」が成立したのを受けて、WINWINは全政党に向けて、この法律の理念を具体的にどのように実施しようとしているのかを教示してほしい旨の文書(期限つきで)を発信した。こういう法律の制定を長期にわたって希望し、推進してきた団体としてあるべきフォローだと考えている。

同法の第4条は、「政党その他の政治団体は、男女候補者数が均等となることをめざし、目標値を設定すること」を努力義務として課しているので、政党は各選挙区で候補者名簿を作成するにあたってこのことを念頭に置かねばならない。

小選挙区の場合は、一選挙区に候補者が一人であるから、男女均等といっても意味をなさない。決まった候補者合計の中で女性が何パーセントになったかを見るしかないわけで、技術的な難しさがある。これに対して、比例区の方は、それが候補者を決めるにあたって、男女がフィフティ、フィフティになるように、又は、それが困難であれば、せめて70対30にするとか、選定することができるから、一人一区の場合より容易である。しかし、何れにせよ、議員になるのにふさわしい人を、党として推すわけであるから、政党の責任は非常に重いといわなければならない。

党の責任者には、わが国における女性の地位が国際的にみて、非常に低く評価されている一つの大きな理由は、国会議員・地方議員に占める女性の割合が非常に少ないことにあることを、よく認識してもらいたい。衆院議員が一割、参院が二割という少なさである。これは、世界最低レベルの水準であって、他の分野(例えば経済、教育、住宅など)で最高に近い順位を占めているのに比較して、何故こんなことになるのかと首をかしげてしまう。ランキングのトップに名があがるルワンダという国は、うち続く内戦のため、男性が多く死んでしまい、残るのは老人と子どもで、選挙に出られないためとあって、これは例外。常に上位にあるのは北欧諸国で、これは政治分野のみならず一般的に女性の進出が進んでいる国々である。

アジア諸国は平均して、世界平均より低いのは残念であるが、それでも日本よりは高いのである。韓国は日本より低かったのだが、クオータ制を取り入れてから、日本を抜いたことが記憶に鮮やかである。フィリピンは長く、スペイン、その後アメリカの植民地として、文化的にその影響を強く受けたといわれているので、そのせいか、就業上の地位も、政治上の地位も、アジア諸国の中で高く、日本より女性の地位の高いことが明らかである。

ともあれ、新しい法律の誕生で、わが国も新しい時代を迎え、「女性の輝く時代」がかけ声だけでなく、実現することを期待するや切である。

最後に、女性の進出が未だしと云われている地の一寸明るいニュースが写真入りで見られた。「サウディアラビアで女性が自動車のハンドルを握っている」今まで女が車を運転などしたら警察につかまって刑務所入りだったのだと聞いています。