時代を視る

2021年10月ニュースレター 時代を視る NO330

2021年11月4日

win win代表 赤松良子

9月のはじめ、政界に衝撃が走った。現首相が、直近の自民党総裁選に立候補しないことを宣言したからである。現在の政権運営に於いては、与党=多数政党のトップが国会で首相に選ばれ、直ちに閣僚を決めて内閣を組織することになっている。与党のトップが首相になっているから、大きな失態とかスキャンダルとかを起こしていなければ、現役の首相が、党の総裁に再選されるのは、ごく自然である。

ところが、今回、菅首相は、来月に迫った自民党の選挙にあたって総裁ポストに立候補しないと宣言した。つまり首相を続ける意志がないということであろう。こんな予測はしていなかったから、メディアも国民もびっくり、何故なんだ?? と原因探しにアタフタするばかりである。

私自身もわずか1年で首相の座を去る決意をするとは予期していなかった。前総理のような長期政権を維持できるとは思わなかったが、1年足らずで退任を決めるとは予想できなかった。そう長くにはならないと漠然と思ったのは、しっかり理由があったわけではなく、ただ毎日のようにTVで首相を見ていて、この人にはハナがないと感じたせいである。ハナなどという漠然とした表現で、まともな批評にはならないと自覚しているが、フムフムと思ってくださる方もあるのではないだろうか?! まじめに一生懸命に務めているのは分かっても、何か魅力が足りない、というのかこの人について行けば安心という気持ちになれないというか、そんなものである。

とすると、今秋、いやでもある総選挙が心配である。(解散がなくても、任期満了になるのだから)。街頭演説をする時、党のトップに応援に来て欲しいのは当然だろうが、そんな時、是非是非と思えないのではないか。

そういう雰囲気を感じて、出馬して恥をかくまいとした決断であるなら、なかなか良いカンだとこちらのカンもうなずいている。

とも角、権力というもの、えも云えぬ魔力があるらしく、しがみつきたがる人の多い中で、珍しい潔さといえるだろうか。

いや待てよ! あとはどうなる、自民党。昔は好きではないが、総理になっても不思議ではないと思わせる大物が何人もひしめいていたように思うのに、今は、総裁選に出ようという方々の顔を見て、うん、これは大物だナと思える人はとんと見つからないのは、こちらが年をとって相手が子供に見えるせいなのか?

そう話を単純化してはいけないだろう。本当に大物がいなくなっているのではないか。菅義偉氏が、「この人がいるから自民党は、さらには日本の政治は、大丈夫」と思っての退陣ならば、それと分かるようにされるだろうに、そういう気配は見えてこない。

疫病コロナとの戦いと、総裁選と二つの闘いをやるエネルギーがないので、後者から降り、前者に集中するという説明も、さっぱり説得力がない。総裁になってこそ、コロナとも戦えるのではないのか。

では、納得のいく理由は何だろうか?

この方、首相の座には一年で短かったが、その前、官房長官として6年以上も政府を支えてきたのだから、もう限界なのではないか、そう思えば、我々も無理は言わず、お疲れ様でしたと言えるのではないだろうか。