時代を視る

2020年8月ニュースレター 時代を視る N0246号

2020年8月10日

win win代表 赤松良子

ここしばらく、コロナウィルスのことばかりがテーマでは、うんざり。少し景気の良いテーマはないものか、と思っていたら、やっとありました。日本人の平均寿命が男女ともに世界一だという話であります。男性81.4歳、女性87.4歳ということが発表されました。フムフムいいぞ、と思っていたら、その後、香港がもう少し上だという報道が出ましたが、これは後出しジャンケンだから、しばらく無視して、日本が一番だと思っておくことにしました。

この原因は、いろいろ分析されているのでしょうが、私の考えでは、第一の原因は戦争をしないと決めたことです。私の人生のはじめの15年は戦争に明け暮れていました。学生の私は年中日の丸の小旗だの提灯だのを掲げて、「勝った、勝った」と行列をし、そのあと今度は、隣のお兄さんが戦死したというので、うなだれて白い布に包まれた箱(骨が入っているのだと思って礼をしていたが、実は紙切れ一枚だったらしい)を迎えて行列したり、ロクな勉強をさせられないで過ごしましたが、人の死には年中出会いました。

大空襲の夜に死んだ人の中には女性が沢山いました。その時代、日本人の平均寿命が何歳だったのか、勿論秘密だったので、国民は知りませんでした。戦後、平和の時代が続いて平均寿命はどんどん延びた筈です。

女性が死ぬ一番大きな原因は出産の時の状態が悪かったことでしょう。妊娠中の栄養状態がひどかった時代も記憶されています。今でも発展途上国では、国民の平均寿命が50歳以下、そして女性の方が男性より短いというところは存在しています。

日本は幸い、そんなことは昔の話になり、第一、女性一生のうちで出産するのは、一、二回、せいぜい三回というのが常識になり、少子・高齢社会を嘆く声があがっていても、あまり効果はないようです。お国の都合で、たくさん生めの、

あまり生むなだのと言われるのは、もうゴメンです。そして、衛生状態が見違えるように向上しました。

栄養状態も然りです。これは男女ともに同じです。国が貧乏だった時代には、栄養状態に男女差があったのです。

男性優位の思想が食べるものにも反映して、一つの食卓でも、男の方が一皿余計に食べるのが当たり前だったのです。私が子供の時、私自身は母が末っ子の私を偏愛していたので、そんな目にあわないですみましたけれど・・・。

出産の回数が少なくなり、栄養の摂り方に変わりなくなれば、男女の寿命は同じ位になって良い筈なのに、そうではない。女性の方が6歳も長い。これは何故??

男は外で働くのが大変だから、過労で早く死ぬからだ、という説もありますが、これは説得力があまり無いみたい。平均寿命に影響するほど過労死があるわけではないし、逆に戦死というものは無くなっているし・・・。

もっと根源的なところに原因はあるらしい。つまり、生命としての力か、そういうものが女性の方がしたたかなのではないか。そうでなければ、人類は生き延びられないのではないだろうか??

8月。ヒロシマ、ナガサキの月。敗戦の月に、そのあと、75年生き延びた私は、女性の生命力について考え続けています。