時代を視る

2015年11月ニュースレター時代を視るNO.187

2015年11月10日

WIN WIN代表 赤松良子

 今年も文化の日(11月3日)に、秋の叙勲発表があった。

受賞者一覧を眺めての感想を述べたいと思う。

まず、受賞者(日本人)3964人のうち、女性は36人で9.1%という少なさである。そこで受賞者一覧を眺めての感想を述べたい。対象者となるのは、広く社会の各分野にわたっているのだから、女性の存在は半分近くある筈だ。功績があるのに、叙勲対象になっていないのなら、女性差別ということで問題になるが、まさかそうではないと思いたい。今の時代、女性にも該当者がいるのではと、探すぐらいのことはあってもよいであろう。というのは、女性は多く働いているだが、下の方の目立たない所に多く、受賞に値するような働き手はとても少ない、ということなのだ。

さらに詳細に中味をみてみると、最高位の「大綬賞」(以前の勲一等)では9人中ゼロである。

次の重光賞(勲二等)では旭日重光賞18人中ゼロ。瑞宝・重光賞36人中ただ一人である。(この方は県立大学=看護大学校の元学長)さらに中綬賞(勲三等)にいくと、

旭日中綬賞44人中2人、瑞宝中綬賞271人中7人。

つまり勲三等以上で見ると女性は3%にも満たないという淋しさである。全体として少ないだけではなく、上位の方にいくにつれてより低率になるのだから憮然としてしまう。現行の制度に改正されたのは2003年のことで、それまで女性は旭日賞の対象とはされていなかった。つまり高い方からは排除されていたのである。これはおかしいではないかと、1993年に時の文部大臣から異議が出て、賞勲局は検討することになり、2003年にはじめて女性が旭日賞を受賞したという経緯がある。

こんなことを私がどうして知っているのかというと、初の旭日大綬賞受賞者が赤松であり(林寛子元参院議長が同時受賞)、1993年の文部大臣も私だからで、記憶は正確である。

制度としては、女性差別がなくなったのだが、男女格差は依然として大きく、女性の地位が 遅々として向上していかないことが叙勲受賞者を見ても明らかな現状である。

同じ頃、BPW(ビジネス&プロフェッショナル女性協会)が世界の女性の地位について、ジェンダーギャップ指数2015(The Global Gender Gap Index=GGGI)を発表した。 経済、政治、教育、健康維持の4項目を算出根拠としたものである。これによれば日本は142ヶ国中104位(2014年)とビリに近い。健康分野では37位、教育で93位と二桁なのに政治分野で129位と足を引っ張っているからだ。

具体的には国会・地方議会での女性議員の少なさが反映しているわけである。

経済で102位とこれまた三桁だが、これは働く女性は少なくないのに、管理職の女性が少ないためで、男女雇用機会均等法ができて30年になるというのに何ということか。

これらの指数と女性叙勲者の少なさは同じコインの表裏ともいうべき現象なので、がんばって男女格差を小さくすれば、両者は連動して上昇する筈で、

それを期待する他はないのであろう。