時代を視る

2018年5月ニュースレター時代を視る NO.219

2018年5月10日

WIN WIN代表 赤松良子

ゴールデン・ウィークには、日本を離れて南の島へクルーズで訪れた。四国(高知・桂浜)、沖縄(那覇・首里)八重山諸島(石垣島・竹富島)、台湾(基隆)などである。今、太平洋上でこれを書いている。(帰京してからでは締め切りに間に合わないので・・・)どの島も、四国を除いては生まれて初めての所であり、おそらくもう一度訪れることはないだろうと思って、感慨が深かった。一週間も新聞を読んでいないから(日本の船ではないので)フレッシュな「時代を視る」を書くことができない。4月の末の出来事を書くことで責をふさぐのを許して頂きたい。それも財務省のセクハラ問題というパッとしないテーマになってしまう。

財務省前次官が、テレビ朝日の女性記者を会食に誘い(何度も)、甘い言葉をささやき、あるいはより深い仲になろうとしたという実態が明らかになり、混乱を招いて任務が果たせないとして辞任を申し出た。セクハラの事実は否認し続けているが、閣議で辞任を認めたというのである。一方女性記者の方は、相手のセクハラ行為を証拠づけるために、テープで会話を記録しておくというシャーロック・ホームズも「オー」と感心するような周到な芸をみせた。これで勝負はあったと思われたが、残っているのは麻生財務大臣の発言の不可解さである。問題が発生した当初から、自身の直近の部下を庇いたいのは分かるが、セクハラ的行為そのものを全く理解しておられない様子であった。何故それがそんなに良くないのかが分からない。そんなふうにうるさく言うなら女性記者は担当からはずして、男の記者だけにしたら良いなどと、これは暴言としか言いようがない。さらに最近「セクハラ罪という罪はない」と明言。けれども、男女雇用機会均等法11条に「職場において行われる性的な言動」という言葉が出、これを「セクシャルハラスメント」というとして「セクシャルハラスメントに関する均等法指針」という法令があるのだ。専門外ではあっても「というものはない」と言い切るのは問題ではありませんか?

もう一つ、やはり財務省の高官が、後に問題になりそうな文言を気にして公文書を改ざんしたという問題である。いわゆる森友問題と言われているが、この人を国税庁の最高のポストにまつりあげておいて、短期間でさっぱり辞任。

さらに一つは、いわゆるモリ・カケのカケの方、即ち加計問題だが、これは現首相秘書官の名前も出没する。あちらこちらに首相夫人の名が出てくるのも、根拠がはっきりしないこともあり、気分が悪い。

というわけで、楽しくない話題ばかりで申し訳ないと思ったところ、一つ明るい出来事があった。南北朝鮮の首脳が相まみえ、握手をかわしたというのである。お二人は両国の境界線・板門店近く韓国側で会い、文韓国大統領が、自分が北側の土を踏めるのは何時だろうと言ったところ、金正恩朝鮮労働党委員長が、今お踏みなさいと、手を取って境界線を越えさせたというエピソードが報道された。とてもほほえましい光景を想い、気持ちがなごやかになった。

このお二人、両方とも5~6月には、後ろ盾の中国と米国の首脳と会談する予定というから、両大国との関係はどちらも密接にという願いから離れることはできないのだろうが、一つの民族が戦火を交え殺し合った70年前の悲劇をくり返すことだけはありませんようにと心から祈っている。