時代を視る

2014年11月 ニュースレター 時代を視る Vol.176

2014年11月14日

WIN WIN代表 赤松良子

夏の内閣改造人事で、女性閣僚が5人になったこと、数が多ければそれで良いというものではないというコメントをしたばかりだったが(9.11)、早くも二閣僚が辞任に追い込まれた。そして両方ともにカネに関することが原因で、公職選挙法違反になるやも知れずというのだから、少なからず遺憾な思いである。女性政治家は男性と比べて、金の面では汚れていないという思い込みがあるせいか、寄付金をめぐる問題でつまずくのは困るではないか。

 

「うちわ」を無償で配ったのが、寄付になるかどうか、ずい分細かいことを言うものだとも思うが、「うちわ」一枚は安くても何万枚も作ったとなるとやはり問題か、何しろ「法務大臣」なのだから、小と言えど法に照らして判断すべきであろう。

 

後任は、法務大臣は女性、経済産業大臣は男性が起用され、結果女性閣僚は4人となった。すべての指導的ポストの30%を女性に、という目標は現政権にとってまたもや遠ざかってしまった。長期政権だった小泉内閣も度重なる改造人事で、女性閣僚は5〜4〜3〜2と減って行ったのが記憶にある。閣僚となるにふさわしい人材は、そうあるわけではないということは理解できるが、先進諸国と比べると、この点でもやはり日本は見劣りがする。

 

フランスの閣僚の半数を女性にという方針を任命権者が貫いたということは、やっぱり政治力とあのパリテ法の賜物であろう。パリテというのは「半、半」という意味だから、割合を決めるクオータ制の中でもっともラディカルな制度である。これをはじめ法律レベルで提案したら、憲法違反だという意見が強まり、無効とされてしまった。それなら、憲法自体の中に書けばいいだろうと憲法改正をしたのだから、フランスの民主主義というのはハンパではないと痛感した次第である。女性議員の層が厚く、有権者がこれを支えていなければ、パリテなどという政策がまかり通るはずがないのだ。パリテ(半、半)ほどでなくても、四割とか三割とかのクオータ制を採用している国は、今や世界のマジョリティを占めている。このことが、女性の政治進出の原動力になったことは疑問の余地がない。アメリカの国会には、クオータ制はないが、その代わり、半世紀前から、男女雇用平等法があって、これは雇用面での話しであるが、社会全体の男女平等観を押し上げる効果も充分に果たして来たと言える。

 

日本の女性の地位を考える時、四つの分野について夫々に指数が出ているが、健康面、教育面では良いポイントだが、雇用と政治の面で低い指数であることが分かる。特に政治分野では、対象国中(つまり先進国中ではない)最低のグループに入っているという情けなさである。この現状を打破するには、もはやクオータ制がどうしても必要という声が、ようやく起こってきたように感じられる。まず女性団体から声が起こり(BPW,WIN WIN etc)、男女共同参画推進本部がクオータ制の本格的勉強を行っていると聞く。どんなタイプのクオータ制が、日本では有効か、を本気で考え、是非実現に向けて行動を起こしてもらいたい。どの政党が早くやれるか最大に目を開いて視てゆきたい。