時代を視る

2025年12月ニュースレター 時代を視る

2025年12月15日

一般財団法人WIN WIN 代表 山口 積惠

11月に起きた日本と中国で発生した2つの火災は、その規模の大きさに驚くばかりでした。11月18日の大分市の火災は離島にまで飛び火し、発生から17日で完全鎮火したと言います。また、11月26日の香港の高層住宅火災では、燃えさかるビルの映像が火災の恐ろしさを伝えていました。いずれの火災も甚大な被害が生じており、心からお見舞い申し上げます。

 

国会では、11月の衆院予算委員会で高市首相が、台湾有事が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態になり得る」と発言したことに対して、中国政府の反発が続いています。中国国内で予定されていたアニメ映画の上映が凍結されたり、日本人アーティストの中国公演が続々と中止されるなどとともに、中国政府は自国民に対して日本への渡航自粛を呼びかけています。中国の報道ではすでにキャンセルが45万件にもなっているといいます。ただ、中国政府が渡航自粛を呼びかけた理由の一つが「日本国内で反中攻撃や犯罪が増加して危険だ」というのは根拠がないと思いました。一方で、台湾発言があった後も、高市早苗内閣の支持率は発足時から変わらず、髙い水準を維持しています。この数字からも高市政権への期待度が高いのだと考えられます。高市氏がこの事態をどう乗り切るのか、関心を持っていきます。

 

10月中旬でしたが、「国連事務所内に緒方貞子記念室」という新聞記事を見つけました。スイス・ジュネーブにある国連難民高等弁務官事務所内に、補佐官として長年、故緒方氏を支えたグランディ国連難民高等弁務官が緒方氏への感謝のしるしとして「緒方貞子記念室」を作ったという記事でした。緒方氏は日本人初の国連難民高等弁務官を務め、世界で民族紛争が続いた時期に紛争地に飛び、難民救援を指揮したことで知られていて「小さな巨人」とも呼ばれました。

 

そして、こちらは市民レベルで「赤松良子記念室」をオープンした話です。WINWINの中井惠美子理事が運営する「民泊きょんさ」(富山県高岡市)の一室を記念室として今年2月に開設しました。実は高岡は赤松良子さんの最後の旅行地であり、きょんさはその際の宿泊先でした。記念室には赤松さんの紹介パネルなどの他に、洋服一式、高岡旅行に着用していた帽子、書籍やレコードなど、赤松さんの遺品が展示されています。中井さんは「靴や洋服といったものを通じて、赤松さんのぬくもりと人間味が感じられる空間にしたかった。この空間を使って各世代が社会と繋がっていって欲しいです」と語ります。また、オープニングセレモニーは10月11日に実施。赤松さんと交流のあった国際女性の地位協会・柏原恭子理事、早稲田大学・浅倉むつ子名誉教授、文京学院大学・山下泰子名誉教授をはじめ地元の活動団体の役員などに加え、高岡市の男女平等推進センター所長や地域の高校生など20名余りが参加しました。記念室がジェンダー平等を考える場と機会を生んでくれることに大いに期待したいです。

 

第十一期赤松政経塾、第3回が都内の国際文化会館で開催されました。第一講義は徳永エリ氏(立憲民主党参議院議員)、第二講義は萩原なつ子氏(独立行政法人国立女性教育会館理事長)でした。今回は徳永エリ氏の講演を紹介します。

徳永エリ氏の選挙区は北海道で、現在3期15年目。初当選後から一貫して農林水産業の振興を中心に関わってきており、同時に環境問題にも踏み込んだ活動を展開していると言い、「私の選挙区は東北7県分の広さでとにかく広いんです」と自己紹介をしました。徳永氏は農業政策について「農地面積がどんどん減り、基幹的農業従事者も減っています。2025年には116万人ですが、近い将来36万人にまで減ることが予測されます。では、誰が米を作りますか?」と、問いを投げかけました。そして、昨年のいわゆる令和の米不足について説明し、全国の農業生産地を回ってきた議員として、生産者が「米の値段が上がったことで、米作りをやめようかと思っていた農家がもう少し続けてみようかという声を聞きました」と話し、「米作りは天候に左右されるので、セーフティーネットが必要です。これを国としてやっていくべきです」ときっぱり。米の値段が上がった原因は、本来米は農協に集まった後に市場に出るのであるが、集荷業者が直接農家に買いに行き、高値で買い占めたためだと説明しました。「では政府が放出した備蓄米は本当に困った人のところに届いたでしょうか、疑問です。前石破首相は米の増産に転じましたが、高市首相は需要に応じた生産と言っています。今の日本の自給率は38%です。これをあげていかなければ食料の安全保障はないと考えます」と話し「現在の米の値段は高すぎます。適正価格の指標が必要で、農家が安心して米作りができ、消費者が安心して買える米価格を考えなければなりません」と言いました。そして食料安全保障の確保と持続可能な発達を促進することを目的とした「食料システム法」が2025年6月に成立したことを紹介しました。

最後に参加者に向けて「議員になったら、外交、国防、経済など各分野がありますが、国民の生命を守る大事な部門での専門性を持ってください」とエールをおくりました。

(理事・甘利てる代)