時代を視る

2019年7月ニュースレター 時代を視る N0302 号

2019年7月10日

win win代表 赤松涼子

6月6日に田辺聖子氏が亡くなった。91歳というから、“早死に”とは言えないだろうが、まだまだ楽しい小説を読ませて欲しいと願っていたのにと、惜しまれる。昭和3年の早生まれだから、私より1年半上、同じ大阪生まれだから、子供の頃、父に連れられて行った道頓堀あたりですれ違っていたかもしれない。松竹座で同じ映画を観ていたかも・・・。「私の大阪八景」など、全く我がことのように思えたのも当然であった。
亡くなられたその日にも読んでいたのが、「ゆめはるか、吉屋信子(田辺聖子著)」だった。読みながら思った「フム、フム、昭和の吉屋信子、平成の田辺聖子なのだ」と。その通り「令和」は、たった一と月、かすめただけで逝ってしまわれた。でも作家の嬉しいところは、「死んで作品を残す」ことができることでもある。今年いっぱい位は、町の書店でも文庫本の棚にずらりと並んで見られることだろうし、そのあとも図書館へ行けば、ちゃんと置かれる本であるだろう。
吉屋信子という名、子供の時(昭和一桁)母が読んでいた「婦人の友」に連載されていたので、私は「おませの女子」だったから、まだ早いと言われ乍ら、ルビを頼りに読んだ覚えがある懐かしい名なのだ。私の目の黒いうちによくぞ書いておいてくださったと、お聖さんにお礼を言いたかった。
吉屋信子が、当時の男性評論家たちに「一生独りもの(オールドミス)で可哀そう」などと云われたのと全く反対に、田辺聖子が生涯に亙る良きパートナー(門馬千代さん)を得て幸せだったと述べているのは公平な評と言える。信子は生涯に8軒だかも家を建てたというのに対し、むやみに腹を立てていた評論家がいたのを知ると、今なら笑ってすませられるし、女性にもすばらしい友情があることを証明してくれた信子さんと、それを書き残してくれた聖子さんにお礼を言いたい
政治の世界に目を転じると、5月の「統一地方選挙2019」と目前に迫った参院選がある。
道府県議会では女性の当選比率は10.4%で、前回(2015年)の9.1%より1.3ポイント上がってはいるが、それでも一割そこそこにすぎない。特別区
(東京)の区議会では31%(前回27.8%)、政令市の市議は20.8%(前回16.9%)、一般市の市議では1,8.4%(前回16.1%)、町村議会では12.4%(前回10.4%)であった。これを見ると、議会の種類別に随分違うことが分かる。女性の参画は東京特別区だけは3割を越えたが、地方では大都市(政令指定都市)でさえ2割そこそこ。「政策決定の場の3割を女性に」という目標にとても及ばないのは、まことに残念である。
二週間後に迫っている参議院選に期待したいところだが、新聞等の予想では、これもあまりパッとしない情報。過大な期待をすると、失望も大きくなるものだから、控え目にしておくか・・・。わが国の女性の地位、とりわけ政治参画、もう少しなんとか、とも思いつつく.