この秋は、本土をおそった台風の数がとても多く、それに比例して被害も大きく、米の作柄にまで影響が出た。さらに10月下旬の新潟中越大地震が追い打ちをかけ、余震の続くなか、死者が増えるなど、心痛むことが多かった。そのうえ、イラクで人質になった日本の青年が殺されるという痛ましい事件まで起こった。そんなイラクの情勢に大きな影響をもつアメリカ大統領選挙の行方は、自国の選挙にもまして、気がもめたが、大接戦の末、現職の勝利で終わりを迎えた。
10月の出来事で、天変地異やアメリカの選挙以外で話題になったものに、プロ野球の新球団問題があったが、その過程で私が驚いたのは、某オーナーの「選手ごときが・・」という発言だった。選手あっての野球か、オーナーあっての野球かなど議論するつもりはないが、いやだったのは、日本を代表するような大新聞の社長のセンスの古さである。このようなセンスで、日本の世論に影響を与えているのかと思うと、背筋が寒くなった。
それにひきかえ、秋の園遊会での天皇の御発言には、日本の民主主義の安泰を実感させられた。東京都の教育委員の米長邦雄氏が、「日本中の学校で国旗を掲げ、国家を斉唱させることが私の仕事でございます」と言ったのに対し、「やはり強制になるということではないことが望ましいと思います」と返された言葉である。だいたい、東京都の教育委員の仕事が、日本中の学校に対する指導だと思っているのもおかしいが、それより何より、昨今の東京都教育委員会が都立学校の教職員の大量処分まで実施して、国旗掲揚や国家の斉唱を強制しているのは、ゆきすぎと批判がでて当然であろう。
米長氏が、自分の発言に対して「がんばって下さい」というようなお言葉を期待し、それによって委員会の方針が正当化できると、考えておられたのではないか、というのは深読みかもしれないが、全く逆の方向だったことは胸にきざまれて然るべきであろう。